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バイクの中では、唯一目立つ機関であるマフラーは悩みどころ。複数のシリンダーを持つ多気筒エンジンだと、エンジンから出るクネクネとした太いパイプは目立つ上にエンジン性能と深い関係があるからだ。単気筒のRS50は燃焼面積も50ccと少ないうえ、2サイクルエンジンという特性からマフラーなどのパイプは特に重要。
そこで、せっかくだからカッコよくて性能も良いマフラー選びを考えてみる。

右の図にあるのが、極一般的なエキゾーストパイプ(排気管という意味で、略してエキ・パイとも言う)で、RS50は単気筒なのでシリンダから直接このエキゾーストパイプが1本出ている。
シリンダから出たパイプは、エクスパンション・チャンバー(膨張室という意味。通常は略してチャンバーと言う)というパイプが膨れた形状の部分に行き、続いてマフラー(消音器)という太い筒状の部分へ行き、そして空気中に排出される。一般にはチャンバーと言うが、チャンバーとは“(空洞の)部屋”という意味だ。蛇足ながらピストルの薬室についてもチャンバーという。また、マフラーという言葉は米国読みで、イギリスではサイレンサーと呼び、意味は同じなのでどちらを使っても良い。

さて、膨張室(チャンバー)と消音器(マフラー)はどんなことをしているのか。単に排気ガスをクリアにして音を小さくしているだけなのだろうかと思えばそうではない。きちんとエンジンのパワーに密接に関係する機能を持っています。

2サイクルエンジンの吸気と排気は、4サイクルのようなカムシャフトがすることはなく、ポートと呼ばれる穴をピストンの動作で開閉して行います。そのため、効率的で軽量になっています。しかし、一方で未燃焼ガスを排気してしまうので燃費が悪い点と、大気汚染という欠点を抱えているので、今やほとんど見かけなくなりました。
その2サイクルエンジンは、混合気をシリンダーに吸気することで燃焼ガス(排気ガス)を排出するので掃気ポートと排気ポートがオーバーラップしてポートの開く時間がかかるため、未燃焼の混合気も、燃焼ガスを追い出すと同時に排気ポートから排出されて、充填効率が低下します。 それを補うのがチャンバーです。チャンバーの独特な形状は、排出した未燃焼の混合気を再びシリンダーへ戻す作用と、排気効率を両立させています。
シリンダーから排出されたガスは、チャンバーのエキゾーストテーパーで加速されて排出され、最大膨張室に入ったガスは、後端の絞りにより急に圧力が高くなって背圧が発生し、背圧は未燃焼混合気をシリンダーへ押し戻します。つまり、チャンバーの大きさは、どのくらいのタイミングでガスを引き出し、どのくらいのタイミングと背圧でガスを戻せば良いかを決めています。
通常、チャンバーサイズが小さいチャンバーは高回転型で、大きいチャンバーは低回転型(トルク型)の設定になります。

吸気作用とは…内燃機関に混合気が吸入されること。
掃気作用とは…二サイクル式内燃機関において爆発・燃焼したガスを、別に空気を送ってシリンダーから追い出す作用。

というわけで2サイクルエンジンのパワーアップは充填効率の向上をすることなのです。蛇足ながら、よくレーシングマシンのチャンバーに断熱テープを巻いてありますが、あれはチャンバーボディー内に充填されたガスが、外気の影響で急激に温度が低下することを防いでおり、ガスの温度が下がるとチャンバー内の背圧も下がってしまうからです。
reference data by Technical Gates Inc.
おまけとして、あまり国内では見かけないヨーロッパのRS50用チャンバーとマフラーです。
©2002,2004 Giyu.